月下の逢瀬
元々、自暴自棄に男の人と付き合ったあたしを諌めてくれた理玖に、気持ちを押し付けたのがきっかけ。

これ以上馬鹿なことをさせないように。
理玖があたしのそばにいてくれたのは、それだけ、なんだ。


愛情を勝手に感じて。
理玖が大切にしている玲奈さんを、最悪の傷付け方で苦しめた。
そして今も、眠りについたままの玲奈さんを傷つけている。



理玖の話を聞くにつれ、あたしの罪の深さを知った。



『人殺しーぃ!』


そう、あたしは玲奈さんを殺そうとしたも同じ。
あたしが理玖を好きになったりしなければ、よかったのかな。
そしたらこんなことにはならなかった。



自分が嫌い。
消え去ってしまいたい。
あたしなんて、いなくなってしまった方がいい。


「うー……」


声を殺して泣いた。


もうどうしていいのかわからない。
あたしはこれからどうしたらいいの?


誰か、あたしに教えてよ……。

理玖の腕は失った。
学校も、友達も、もうあたしにはない。


「も……やだ……」


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