月下の逢瀬
お似合いの二人。
うらやましい二人。
理玖と玲奈さんはいつもそう形容される。
短い茶色がかった髪がよく似合う、少し目元がキツいけれど綺麗な顔立ちの理玖。
柔らかな肩までの長さの髪に、幼くも見えるけれど、可愛い玲奈さん。
くるくる表情を変えて、明るく笑う玲奈さんを、そばでずっと優しく見守る理玖。
中学から付き合っている二人には、しっかりした絆があるのだと、誰もが見て取れた。
あの二人が並んでいるのを見ると、胸の辺りがいつもちりちりと痛む。
お前なんか似合わない、相応しくない邪魔者なんだよ、と誰かに言われているようで。
二人の間の僅かな隙間、そこに忍び入っている自分が、ズルいことをしているのだ、と思わずにいられない。
「ああ! 真緒見つけた!」
「……え? あ、結衣……」
背中から声を掛けられて、振り返ると結衣があたしに駆け寄って来ているところだった。
気付けば職員室の前まで来ていたようで、ドアを塞ぐようにして立っていたあたしの後ろには、気難しい顔をした世界史の田中先生の顔。
「あ、すみませんっ」
慌てて道を譲ると、田中先生はごほんと咳をして、職員室へと入って行った。
うらやましい二人。
理玖と玲奈さんはいつもそう形容される。
短い茶色がかった髪がよく似合う、少し目元がキツいけれど綺麗な顔立ちの理玖。
柔らかな肩までの長さの髪に、幼くも見えるけれど、可愛い玲奈さん。
くるくる表情を変えて、明るく笑う玲奈さんを、そばでずっと優しく見守る理玖。
中学から付き合っている二人には、しっかりした絆があるのだと、誰もが見て取れた。
あの二人が並んでいるのを見ると、胸の辺りがいつもちりちりと痛む。
お前なんか似合わない、相応しくない邪魔者なんだよ、と誰かに言われているようで。
二人の間の僅かな隙間、そこに忍び入っている自分が、ズルいことをしているのだ、と思わずにいられない。
「ああ! 真緒見つけた!」
「……え? あ、結衣……」
背中から声を掛けられて、振り返ると結衣があたしに駆け寄って来ているところだった。
気付けば職員室の前まで来ていたようで、ドアを塞ぐようにして立っていたあたしの後ろには、気難しい顔をした世界史の田中先生の顔。
「あ、すみませんっ」
慌てて道を譲ると、田中先生はごほんと咳をして、職員室へと入って行った。