月下の逢瀬
いけないいけない。
ぼんやりしてしまってた。


「もー。保健室行ったらいないんだもん。心配したよー」


「ごめん。これ出しに来たからさ」


「そっかー。でもラッキー」



くすくすと結衣が笑う。


「何が?」


「保健室行ったら片桐先生がいるんだもん。ちょっと話しちゃった。先生ってさあ、かっこいいよねー。
真緒ってば二時間近く片桐先生と一緒だったんだよね。羨ましいなあ」


この際、保健医が片桐先生にならないかなー、と結衣は続けた。


「そうー? あたしは佐藤先生の方が気楽だけどな。近所のおばさんみたいで話しやすいし」


「つまんないこと言わないでよ。片桐先生が保健医って想像してみなよ。絶対今まで以上に人気がでるよ。
もう、真緒は分かってないなあ」


結衣はやれやれ、と溜め息をついた。

片桐先生は、確か26歳だっだっけ?
入院した上野先生の代理で来たのは2ヶ月くらい前だったよね。
大人の雰囲気がして、人気があるとは聞いていたけど、結衣もだったのか、と思う。



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