月下の逢瀬
でも……。


ふ、と窓に顔を向けた。
そこには淡い光を放つ月。
涙で滲んだそれを見つめた。



理玖。


いつか理玖は、ちゃんと幸せになれるよね?
背負っているたくさんのものを下ろして、安らげる時がちゃんと来るよね?




二人が一生を共にして、別れることがないというのなら。
玲奈さんと理玖が、幸せに笑いあえる日がこの月夜の先に、きっとありますように。
理玖が幸せな気持ちで月を見上げる夜が、いつか来ますように。




そして。
遠ざかっていく足音を追いかけて、行かないでと泣き縋りつきたかった。
その衝動をどうにか堪えたことが、正解だと思える日が、あたしにも、来ますように。



別れを、懐かしく振り返ることができる日が。




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