月下の逢瀬
「勿体無いって、気分悪くてそれどころじゃなかったし。
結衣は先生が好きなんだ?」


「やだ、憧れてるだけだよー。あたしにはコウタがいるし。それにさ、先生は絶対彼女いるって」


結衣が少し頬を染めて言う。
彼氏がいるとか言いながら、最後は少し残念そうな声色だった。


「先生モテそうだもんねー。でもわかんないよ? 実は年下好きかもしれないし。結衣だってもしかして、さ」


からかうように言うと、結衣はもう、と頬を膨らませた。


「そんなことよりも、早くお昼食べよ。あたしお腹空いちゃった」


「はーい。じゃあこれ、さっさと出してくるよ」


あたしはくすくすと笑いながら、職員室へと入って行った。







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