月下の逢瀬
「お待たせ。晃貴さん」


「ん。もう用意できた?」


家の前に停めたタクシーの側で、両親と談笑していた晃貴が、あたしの手からバッグをとった。


「荷物はこれだけ?」


「うん。あとはもう送ってあるから」


あたしは両親に向き直った。


「じゃあ……、行くね」


「着いたら、すぐに連絡してね? 生活に慣れるまでは無理しないようにね。
晃貴さん、この子をよろしくお願いします」


心配そうに言い、晃貴に何度も頭を下げる母の姿に、少し泣きそうになる。


「大丈夫ですよ。絶対に無理はさせませんから。
泣かせるような真似もしません」


「ありがとう。真緒を、どうかお願いします」


いつもよりも神妙な顔をした父までもが、深く頭を下げた。


「二人とも心配しすぎ。大丈夫だって」


意識して明るく言って、あたしは母の背中をぽんぽんと叩いた。


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