月下の逢瀬
それに、と先生は目元を指差した。


「目は、コンタクト? いつもはメガネだよね。真面目そうな黒ブチの」


「はい。でも、真面目そうですか?」


「ああ。ノーメイクで、おとなしそうというか……」


「地味って言いたいんでしょう? でも、高校生は普段はメイクしない方が大人に褒められるんですよ」


「なる程」


しれっと答えると、先生が苦笑した。

今日は薄くだけど化粧をしていた。
女の子だし、たまには少しくらいしたいじゃないの。


それに、理玖が来ると前もってわかってる時は、いつだって化粧してる。
理玖にはちょっとでも、可愛いと思われたいから。


「でも、今の方が断然いい。普段からそうしていればいいのに」


「そうですか? ありがとうございます」


誉められて悪い気はしないので、笑って言う。


「椎名は綺麗なんだから、顔を隠すようなことしなきゃいいのに。
明日そのまま学校行けば、モテるよ」


「ほめ言葉だけもらっておきます」


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