月下の逢瀬
先生が美味しいパスタのお店が近くにあるというので、歩いて行くことにした。

通りから外れたところにあるお店は、かわいらしい店構えで、あたしは笑ってしまった。


「どうした?」


「先生が誘ってくれた理由がわかってしまって。男の人一人でこの店は入り辛いですね」


「あ、バレた?」


あっさりと認めた先生と、中に入る。
気付かれにくい位置にあるせいか、昼時でも店内は空いていた。


それでも、パスタの味は先生のおすすめ通り美味しかった。


「ふー、満足です。美味しかった」


「よかった」


食後にコーヒーを飲みながら、あたしは満たされたお腹を軽く叩いた。


「食べすぎました。ヤバいです」


「椎名は細いから少しくらい食べても大丈夫だろ」


「いえ。見えないところがヤバいです」


こことか、と二の腕を摘んでみせると、先生がくすりと笑った。


「椎名は、結構しゃべるんだな」


「無口だと思いました?」


「校内だと、おとなしいイメージがあったから」


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