感情少年少女
「今は準備運動ですね!それが終わったら皆、クラウチングスタートで100メートル走りますよ!」
「……」
100メートル…私が一番よくやっていたものだ。
長距離の方が長く走れるからそっちの方が好きだけど。
「あ、もう走るみたいですね!」
そう言って数人が走る体勢になりいっせいに走り出した。
「っ!!」
「やっぱり速いですね!」
今、私も一緒に走ったような気分に…。
風が吹いた。
私はぎゅっと手を握る。
「マネージャー…やります」
「わーい!新入部員ですね!」
私がマネージャーになる理由は──。
「じゃあザッと説明しますね!あ、でも申請書書かないとですね!」
「ゆっくりでいいですよ、先輩」
「せ、先輩!!?そんなこと初めてです!」
「これからはなれますよ、きっと」
私はニコッと微笑む。
「あ、皆来るので紹介しますね!」

──私がマネージャーになる理由は私も一緒に走るため。きっとこの人たちなら私を走らせてくれる。そう思ったから。
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