この恋、運命です
「分かってない!」

 連れ去られたのは、先ほどのお化け屋敷の裏。

「大丈夫、ここは誰も来ないから」
「なにも、大丈夫じゃ」

 言いかけた言葉は、唇に飲み込まれていく。

「ずっと、我慢してた。優ちゃんに振られたら俺もうどうしようかと思ってた。しかも今日の浴衣姿すげぇ可愛いし。変なナンパに声掛けられてるし、俺の優ちゃんなのに」
「なにそれ」
「可愛いつってんの、めちゃくちゃ好きで、可愛いんだよ」

 もう一回と言わんばかりに、両手で両頬を支えられる。私より少し背の高い泰斗くんを見上げて目を閉じれば、ほんのりあったかい唇が触れた。

「絶対幸せにする」
「ありがとでも、まだこんなとこ居ていいの?」
「見てないの? 俺のふりふり踊り。俺の今日の仕事はあれで終わり、だから、いいの。まだ一緒にいて」

 そっと繋がれた右手がやけに熱を持つ。頭の中が幸せでいっぱいで苦しい。やっぱりこの恋は運命だったようだ。

<了>
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