【番外編】副社長の一目惚れフィアンセ ~詩織の物語~
「あ!お姉ちゃん!」
聞き慣れた声に振り帰ると、公園から明里が駆けてきた。
明里は9歳年下の妹で、今は小学3年生だ。
「こんな寒い中遊んでたの?」
「うん、暗くなってきたから帰るとこだった。
お姉ちゃんずるい!またナオと一緒に帰ってる!」
「だって彼氏だもん。一緒に帰るでしょ」
「私も一緒に帰る」
明里は反対側に回り込んで、ナオの手をぎゅっと握った。
「明里はホント直斗のこと好きだね」
「うん、いつかお姉ちゃんから『りゃくだつ』する予定だからねっ」
「嬉しいな。俺モテモテだな」
直斗はくすくす笑いながら、明里とつないだ手をぶらぶらと揺らす。
微笑ましい光景だな。
きっと直斗はいいパパになる。
その時そばにいるのが、私だったらよかったのに。
幸せだと思えば思うほど、この日々を失うのが怖くなる。