【番外編】副社長の一目惚れフィアンセ ~詩織の物語~
「受かったら近くのアパートに住めるな」
「…うん、そうだね」
「俺はむしろ、一緒に住んでもいいくらいなんだけど、さ」
視線を泳がせながら直斗がボソッと言う。
瞳が潤んで、それを隠すように直斗の首に腕を回して顔を埋めた。
応えるように直斗の腕が背中を抱きしめてくれる。
本当は直斗を悲しませる前に、こっぴどく振って別れようと思っていた。
けれど、もう少しだけと自分を甘やかして、ずっと先延ばしにしていた。
この幸せを手放すことができなかった。
「…ごめん、直斗」
「ん?なんか言った?」
「ううん。ねえ、今日はいっぱい抱いて」
「…思春期の男子にそんなこと言ったら、ホントに際限なく抱くよ?」
くすくす笑い合って、どちらからともなく唇を重ねた。