【番外編】副社長の一目惚れフィアンセ ~詩織の物語~
――きっともう、残り数日。
その日はいつ来てもおかしくない。
「ホント、いつも部屋の中片付いてるよねえ」
「詩織の部屋が散らかりすぎてるだけだろ」
直斗が背を向けている隙に、日記帳を本棚の奥に押し込んだ。
いつか直斗の悲しみが癒えたとき、笑って読んでくれますように。
そう願いを込めて。
直斗の机には参考書が積み上げられている。
来月の今頃は大学入試だけれど、私の死が入試に影響してしまうことが心配だ。
直斗の将来がかかっているんだから。
「…受験勉強中に家に押しかけておいてなんだけど」
「ん?」
「大学、絶対受かってね」
直斗はきょとんとして、ふっと笑う。
「大丈夫だよ。
詩織こそ、専門学校だって面接試験あるんだから、落ちるなよ?」
「…うん」
表向き、私が志望している専門学校は、直斗の志望大学の隣駅だ。
時期的に進路を決めざるをえなくて、まさか『その前に死にます』とも言えず、せっかくなら直斗がモチベーションを上げられるようにと近くの専門学校を選んだ。
直斗の心の傷を大きくしてしまう可能性を考えたら、これが本当に正解だったのかどうかはわからないけれど。