愛よりもお金が大事。
私の自宅は、なんの変哲もない4LDKの一軒家で。
築15年程。双子達が産まれてすぐくらいにこの家を両親が買った。

家のローンは契約者の父親が亡くなり団信で無くなったけども。
そろそろ外壁の塗り替えから始まり、色々とメンテナンスをしないといけない。
軽く百万以上出て行くだろうな。


帰ると、母親はまだ起きていた。


「お母さん。もしかして私を待っててくれた?」


リビングのソファーで、母親はテレビを観ていた。


「ううん。このドラマ観出したら止まらなくて」


テレビの画面に写っているのは、海外ドラマで。
契約しているサブスクで観放題のもの。


このサブスクもそうだし、Wi-Fiも辞めたら月にいくらか浮くのだろうけど。
どちらも、もう日常に欠かせない。


本当に、お金が掛かる。


「花梨、最近時々こうやって遅いけど、彼氏出来た?」

そう訊いて来る母親は、嬉しそうで。
私が前の彼氏と別れてから、母親は落ち込む私を気に掛けてくれていた。


だから、そんな私に新しい彼氏が出来て、嬉しいのだろうな。


「ううん。
会社の同僚の女の子。
最近、仲良くなった子で、こうやって時々会社終わってからその子の家に遊びに行ったり」


セフレが出来たなんて、母親に言えない。


「そう。最近、花梨凄く綺麗になったから」


「え?私が美人なのは、元からだよ。
とりあえず、お風呂入って来る」


そう軽口を叩き、逃げるようにリビングから出る。


冬野の家で、行為の前に軽くシャワーを浴びていて、
その時のバスソープの匂いが、今も自分で分かるくらいに残っている。
早くそれを洗い流さないと。


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