麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
その12
亜咲



麻衣が自分のチームを作るつもりだと話しだしたのは、私が高校を辞めることを告げてすぐだったかな

まあ、半年後には高校へ入る時期だったというのもあったかも知れない

でも、あの子…

私に会う度、”こんなチームにしたい”、”いずれは南玉の公認チームに…”とか、具体的に自分の望むイメージを訴えてきたわ

目をガンガンにぎらつかせて…

私は思わず、”本気だわ、コイツ”ってね…

そう感じずにはいられなかったわ


...


そして、麻衣が進む高校が決まった

彼女は私にさっそく報告しに来てね

「私、大河原高校に入ることになったんですよ。まあ、有名なバカ学校ですが、いい仲間見つけてとびっきりのチーム作るつもりですよ。そうですね…、10人くらいは目指したいな、とりあえず。だけど、メンバー数より少数精鋭で質を重んじようと思ってます」

ハハハ…、いいわ、麻衣って子

高校進学に当たっての抱負、私に語ってるし…

勉強とか部活、モロ無視で…(苦笑)

...


「高校入った早くバイク買いたいんで、今、資金をためる方法考え中なんですよ。もう、欲しいマシンは決まってるんで…」

麻衣ちゃんめ…

店の端に展示してるアレを狙ってるな

知ってるぞ、私は…(笑)

...


「麻衣ちゃん、資金貯める方法って言ったな、今…」

「はい…」

「大変だぞ、子供が親以外からお金を手にするのは…。まあ単純に言って、学生なんだからバイトしかないと思うが…」

「そうですね、はは…」

大河原高校のアタマではないのは明らかなこの子へ、今私にこんなことをこういう言葉で告げたら、彼女からはこう返してきたんだ

さりげない言葉のやり取りではあるが、後から思うと、ある予感がしたんだろうね

ちょっと、この時のお互いのリアクションは印象深く覚えてる

...


この日、麻衣は帰り際にこんなことを口にしたんだよね

「私、高校入ったら”イッキ”で行きますんで。私に対しても、亜咲さんに対しても、そして自分自身に対しても…」

アイツは確かにそう言ってた

”私”と”自分自身”をそれぞれ別にして…

ふふ…、その深意ってのは、あの子が大河原高校に入学して間もなく、どんと私の眼前に突き付けてくれることになるのよね…

到達点だったから

そこが私と麻衣、互いが通じ合う折り返し地点の…



ー完ー




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