あくまくんが愛してやまない。
これはいったい、なんだ。
心臓がイレギュラーを起こしすぎて、かなり心配なことになっている。
どんどん近づいてくる彼の胸板を、なんとかグイグイ押し返すことでわたしの理性は成り立っている。
「恭平くん……っ、近いよ! ソーシャルディスタンス!!」
「俺らに社会的距離とか必要ないっしょ」
「……なに言ってるの?!」
完璧に恭平くんのペースに呑まれている。
彼はというと、止まってくれる気配はない。
……な、なかなか手強い!
静かに近距離で攻防戦を繰り広げていると、先に折れたのは恭平くんだった。
「……みゆうちゃんって案外ガード固いよな」
そう言うなり、わたしから少し離れて肩を震わす恭平くん。