あくまくんが愛してやまない。




これはいったい、なんだ。

心臓がイレギュラーを起こしすぎて、かなり心配なことになっている。



どんどん近づいてくる彼の胸板を、なんとかグイグイ押し返すことでわたしの理性は成り立っている。




「恭平くん……っ、近いよ! ソーシャルディスタンス!!」


「俺らに社会的距離とか必要ないっしょ」



「……なに言ってるの?!」





完璧に恭平くんのペースに呑まれている。


彼はというと、止まってくれる気配はない。


……な、なかなか手強い!



静かに近距離で攻防戦を繰り広げていると、先に折れたのは恭平くんだった。



「……みゆうちゃんって案外ガード固いよな」




そう言うなり、わたしから少し離れて肩を震わす恭平くん。




< 144 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop