あくまくんが愛してやまない。
なににそんなに笑っているのかわからないけれど、さきほどの甘い空気は消え去って、ほっと胸をなでおろした。
あのままだったら、どうなっていたかわからない。
ほんの一瞬考えたけれど、慌てて思考を消す。
だめだ、だめだ……!
恭平くんの破廉恥だ……!
「俺、もう抜け出せねえかも」
「え……?」
突然わけのわからないことを言い出す恭平くんに、きょとんとする。
真意が読めなくて首を傾げていると、彼はくすっと微笑んで肩をすくめた。
「なんもない。てか、時間だしそろそろ戻ろうか」
彼の言葉に夢から現実に戻った感覚に陥る。
少し寂しいな……と思っていると、恭平くんは、ぽんっとわたしの頭に大きな手を置いた。