あくまくんが愛してやまない。
嫌味を落とした沢っちだけれど、さすがにここで怒るほど酷くない。
わたしはさっきまで寝ていたし、そのあいだも働いてくれたのは彼だから。
「沢っち! いたなら早く言ってよ!」
「いたけど保志が一生、阿久間のこと喋ってるから出るに出られなかったんだよ!」
「それはごめん沢っち……! 今日期限のプリント提出してくれたんだよね? ありがとう」
「くそ……なんだよこの負け犬感……!」
沢っちったら、めちゃめちゃ拗ねている。
さすがにこれに関してはわたしが悪い。
ごめんね、ともういっかい手を合わせて謝ると、彼はため息をついて、やっと表情を柔らかくした。
「ちゃんと睡眠はとれよ」
沢っちが柄にもなく心配そうに見つめてくるから、少しドキッとしてしまう。
途端に恭平くんの顔がぽんっと思い浮かんで、慌てて首を横に振って思考を遮断した。