あくまくんが愛してやまない。



そんなわたしの様子に気づいたように、沢っちは少し笑ったような気がした。

そうして、くぐもった声をわたしにかけてくれる。




「悔しいけど、行ってこいよ」




いつもより覇気がない声。

それなのに、じっとわたしを見据えて言ってくれる。





「俺、保志とはこれからも友達でいてやるから」


「……沢っち」




「だから、阿久間と話してこい」




俺は、諦めるから。


そう聞こえた気がして、涙が溢れそうになる。



だめだ、……泣いちゃだめ。

わたしは、泣いちゃだめだ。









< 235 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop