あくまくんが愛してやまない。



「恭平くん、大好き」



そうぎゅっと抱きしめたら。

同じように抱きしめ返してくれる彼が好き。



「俺のほうが、もっと好き」



甘い匂いに誘われるように。

優しい風が吹いてわたしの髪が少し舞う。



わたしの乱れた髪を、優しい手つきで耳にかけてくれる恭平くんは。


どこまでもカッコよくて色っぽくて美しくて。



「みゆうちゃんには、死ぬほど優しくする」



そう言って細めた目に、捕らわれて逃げられなくて。


ずっとこのままでいいのにな、と思っていたら、恭平くんはくすりと微笑んだ。






「だから、覚悟しといてね」




いつだって、きみはズルい。

こうしてドキドキするのは、わたしだけ。



それでもぎゅっとしたくて仕方ない。






────ああ、もう。

どうしたって、恭平くんの瞳に囚われる。



あくまくんが、愛してやまない。





Fin .


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