すき。だけど。

ねぇ、君はその海にいるの?
君と見た夏の日の思い出は忘れないよ





湊side
湊「っっっぃてぇーーーー」
母「どうしたの?湊」
湊「腹が痛い……」

医「盲腸ですね」

マジかよ

医「手術をすれば2週間ほどで退院出来ます
よ」

2週間?まぁたまにはゆっくり休むか

LINE[おぉ湊
盲腸?手術頑張れな!退院したら焼肉で
も食いに行こーぜ 樹]

いや盲腸治って焼肉とか無理だろ(笑)
樹らしい

湊「ん……」
母「あぁやっと起きたのね
湊なかなか起きないからみんな帰っちゃ  
ったわよ」
湊「俺どんだけ寝てた?」
母「半日よ」
湊「ふわぁああ
久しぶりによく寝たー」
「うぅ……っいってぇー」
母「まだ起き上がらずゆっくり寝てなさい」


看「おはよう湊くん
痛みはどう?まだ消化に悪いもの
は食べちゃダメですからね」

お粥だけかよ
まぁいいやこれ食ったら散歩でも行くかな


ん?誰だろう?屋上に誰かいるような……

七海「早く退院したいな」
湊「ねぇ君も入院してんの?」
七海「ビックリしたぁ
うん……ちょっと食あたりでね」

その時君の表情が一瞬曇った気がした
でも、その時は深く考えなかった

七海「ねぇ高校生?」
湊「あぁそうだよ?君も?」
七海「うん高2
私は七海よろしく」
湊「俺も高2
湊、よろしく」

君は出会った時から少し無理して笑っていた

七海side
看「七海ちゃんメイクしてどうしたの?
もしかして好きな男の子でも出来た?」
七海「そ、そんなことないよ!
ただ、たまには高校生らしいことした
いなってそれだけ」
看「無理しないでね」
七海「うん」

今日も湊くんいるかな?
会いたいなでも、湊くんはもうすぐ退院
しちゃうんだもんね……

湊「入院って退屈だったな
俺、明日退院するんだ
なぁ良かったらLINE交換しない?」
七海「うん
私はもう少し長引いちゃいそう……」
湊「そっか
退院したら、どっか行こうよ」
七海「うん……」
湊くんと、出掛けたいな

2ヶ月後
[七海です。元気?退院しました。
どこか出掛けたいです。
湊くんの行きたいところある?]

湊side
七海ちゃんだ!
うーーん……どこがいいんだろう

[海はどう?]


七海「お待たせ、待った?」
湊「ううん全然
じゃあ行こっか」
七海「うん」

七海side
海なんて何年ぶりだろう
でも、湊くんのことなんか好きになっちゃ
いけない……
だって……私は……

末期の膵臓癌



七海「海、キレイ」
湊「そうだね」

湊side
君は泣いてるの?どうして?
涙が砂ににじんでるよ?
何が悲しいの?

七海side
海は、素直な気持ちを気づかせてくれる
今日の思い出は忘れない
だけど……湊くんのことは忘れよう

湊side
最近七海から連絡が来ない……
俺からするべきか?
いやダメだ
もう少し待ってみよう

七海side
あの日が最後の夏だったな
体が重い
気持ちが悪い
もう湊くんには会えないかな
看「七海ちゃん薬入れるね」
七海「あ、あの、ス、マ、ホ、取っ、て、 く、だ、さ、い」
湊くんごめんね私もうすぐ死んじゃうみたい
湊くんから連絡はないし、もう大丈夫


一年後

この海は、俺たちの思い出の場所だ……
だけど、もう七海には会えない
いや、あってはいけないんだ……
だって君は
死んでしまうから

俺にできることは無いかもしれないだけど、
最後まで七海を愛していたい

海に行こう

七海side

この波にさらわれて遠くに行ってしまいたい

『好き』

湊side

七海だ……泣いてない
歌っている
でも、この波にさらわれて遠くに行ってしまいそうだ……
嫌だ離したくない

七海side
湊くん、
君と楽しく過ごすごとに別れが苦しくなるよ
君といると病気のことをわすれてしまうよ
君とずっと一緒にいたいよ

この海でなら解決策を見つけられそうだよ

湊side
七海、
君は僕に限りない夢を見させてくれるよ

この青空のように広く大きな夢を

一年後

この海に来れば君の声が聞こえる
この海に来れば君に会える気がするよ

そこにいるんだろ?

もう一度会いたい

七海に会いたい



七海、
俺は君から大切なことをたくさん学んだよ




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