剛腕御曹司は飽くなき溺愛で傷心令嬢のすべてを満たす~甘くとろける熱愛婚~
「うるさい! お前ごときが私に意見するな!」
 私の頬を平手打ちすると、父は「お前の顔などもう見たくない」と言って、鼻息荒くこの場を去っていく。
 事実上の絶縁宣言。父に叩かれた左の頬がじりじりと痛んだ。
「そんな……」
 俯きながら叩かれた頬を押さえ、ポツリと呟く。
 私はどうなってもいい。でも、弟は……。
 家を追い出されて、どうやって弟を守ったらいいの?
 社会に出たこともない箱入り娘の姉と、入退院を繰り返している喘息持ちの弟。
 これから先どうすればいい?
 絶望に打ちひしがれていると、義母と義妹の声がした。
「新郎に逃げられるなんて、優里香さんつくづく運がないわねえ」
「お義姉さん、可哀想に。私だったらこんなの耐えられないわ」
 悪意に満ちたその声を聞いて顔を上げると、ふたりの目は笑っていた。
 形だけの同情。まるでいい気味と言っているかのよう。
< 11 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop