優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
「ナイフを持ち出すなんて・・反則だぞ・・」

グレイズ先生が青ざめて言ったが、
キアラは表情を変えずに

「レイピアでは、ダガーを左手で扱うのが普通です。
それに、実戦では確実に相手をしとめろ、
そうアラゴンではそう教えられます」

「ああ、そうだが・・これは授業だから・・・」

グレイズ先生は、キアラの握りしめているナイフの存在に、ようやく気が付いたようで

「キアラ・・ナイフをいつも持っているのか・・学校内では問題だぞ」

「護身用です。父から持つように、いつも言われているので」

キアラは少し不満そうに、背中のウェスト部分からナイフのさやを取り出した。

それぞれの顔を見合わせて、生徒たちが、ざわついている。

グレイズ先生はようやく我に返ったというか、本来の仕事を思い出したように

「キアラは職員室にいきなさい。そのナイフは私に。
他の生徒は、すぐに教室に戻ってよい」

キアラは何事もなかったように、ナイフをさやに入れ、グレイズ先生に渡した。

カシアスは・・呆然として立ちすくんでいた・・
こんなことは初めてだ・・
そして喉元に指をやった。

あの黄金の炎をきらめかせる乙女に、殺されるのなら本望・・
一瞬だが、そう思えた。

キアラは指示された通り、体育館を出て行った。

グレイズ先生は、ナイフを手にして、あわててその後を追い駆けて行った。
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