2ねんせいの夏。
『健!』

お父さんが言った。

『健ちゃん!』

お母さんが言った。

それだけなのに、
照れる健がいた。

『もう8月になっちゃったけど、誕生日おめでとう。』
『おめでとう。』

『ありがと。』

子犬を抱え照れる健は、
その言葉と子犬の両方に対してお礼を言った。

『野球の観戦チケットは、
今度みんなでそろって行ける時に、みんなの分とるからね。
春君達の分も。』

『うん。』

『春君は健の、
野球の先生なんだろ?』

『うん。』

『みんなで行く野球観戦が、
【あったかいもの】
でいいかな?』

『うん。』

『あと、あったかい家族の子犬もどうでしょう?』

『うん、100点。
ううん、1000点。』

『やりましたよ、お母さん。』

『やりましたね、お父さん。』

うれしそうな健と家族の様子を
遠巻きに春が眺めていた。
< 47 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop