2ねんせいの夏。

家出男。

修が家族の元に帰って
夏休みを過ごすことになった
次の日。


『一人いなくなるだけで、
なんだかさみしいね。』

奈々が言った。

『そうか?たまに遊びにくるって言ってたし、2学期始まる頃にはまた、戻ってくるし…』

貴が言った。

『本当なら春君も太陽君も、
兄ちゃんも宏君もいなかったんだよなぁ。』

慎が言った。

『そのうち皆、
ここを離れていくんだよね…』

亜子が言った。

『嫌だ!』

潤が言った。

『あと1年半もすれば、
このうちの子供は健と潤だけになるなぁ。』

宏が言った。

『嫌だぁ…』

泣きそうに言う健。

『大丈夫だよ、
皆、帰ってくるし、たぶん。
それに、ホームがいるでしょ。』

奈々が言った。

ホームとは、健が誕生日に貰った子犬の名前。

野球のホームベースからきているらしい。

“点数が入る場所”で、
健なりに
“うれしい”って事らしい。

しんみりしてしまった
きょうだい達。


そんなときやってきた。
大きな荷物を抱えた男。

『こんちは〜。こんちは〜。』

『誰だよ。』
< 55 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop