Contact〜再会した初恋の君に〜
「紗希ちゃん。帰るところ?」
「あ、藍田さん。お疲れ様です。今日もありがとうございました」
「どう? 少しは勉強になってるかな?」
「すごく勉強になります」
隣に並んで歩いていると背中に手が当てられてビクッとなった。
どうやって避けたらよいのか困ってしまう。
とりあえず、駅までの方向が一緒だと思うと、逃げることもできないし…。
そんなことを考えていると、バッグの中でスマホが振動していることに気がついた。
取り出して見ると瀧本くんからの着信だった。
「もしもし…」
『もしもし、紗希。今どこ?』
「えっ…今は病院を出て駅に向かっているところなんだけど…」
『あのさ、今から病院に戻れる? ちょっと大事なもの忘れてて』
「大事なもの?」
『そう…』
「わかった。どこに行けばいい?」
『1階の内科の5番診療室に来て』
「うん。じゃあ、すぐに行くね」
私は藍田さんに一言断ると急いで病院に戻った。