【短】だからもう、俺にちょうだいって。




どうしよう。

つい言ってしまってから後悔がじわじわ追いかけてくる。


そう、私が目線を送ったのは隣に置いていた貰い物の小袋。



「……いや、これはこのみちゃんだけが食べないと意味ない。あの後輩ほんと幸運だよなあ、俺の手から火が出なくて」


「……嫌、じゃない…?」


「すっっげえ嫌だよ。……でも、一生懸命つくってもらった気持ちに対して“ありがとう”ってのはあるだろうし、
俺もそこはこのみちゃんを信じてるから。まあ、すっげえ嫌ですけど!!!」



あまり広げすぎないように小さくうなずくと、ふて腐れた表情をして私を抱きしめる力を強めた結多くん。



「…そのぶん俺だけのこのみちゃんで埋めてやるから平気」


「わっ…、んっ、ひゃっ」



おでこに、頬っぺたに、唇に、耳に、首筋に、結多くんからの逆チョコが与えられてゆく。



< 29 / 33 >

この作品をシェア

pagetop