【短】だからもう、俺にちょうだいって。
どうしよう。
つい言ってしまってから後悔がじわじわ追いかけてくる。
そう、私が目線を送ったのは隣に置いていた貰い物の小袋。
「……いや、これはこのみちゃんだけが食べないと意味ない。あの後輩ほんと幸運だよなあ、俺の手から火が出なくて」
「……嫌、じゃない…?」
「すっっげえ嫌だよ。……でも、一生懸命つくってもらった気持ちに対して“ありがとう”ってのはあるだろうし、
俺もそこはこのみちゃんを信じてるから。まあ、すっげえ嫌ですけど!!!」
あまり広げすぎないように小さくうなずくと、ふて腐れた表情をして私を抱きしめる力を強めた結多くん。
「…そのぶん俺だけのこのみちゃんで埋めてやるから平気」
「わっ…、んっ、ひゃっ」
おでこに、頬っぺたに、唇に、耳に、首筋に、結多くんからの逆チョコが与えられてゆく。