あさまだき日向葵
乗り切るには、どうしたらいいか。
“嫌い”“苛立つ”そんな感情をそのままにするには限界が来ていた私は、自分の感情を紐解いてみることにした。
彼の何がそんなに気に障るのか。
嫌いになっても仕方がない、そんな事をされたかというと“NO”だ。

じゃあ、なぜ？その“なぜ”がわからないので、“嫌い”という感情を分析してみることにした。

嫌いという感情は表裏一体である。
心がざわつくところも共通している。
『誉田くんとペアになりたい！』と強く祈っていた陽葵の姿を思い出した。
『塔ヶ崎くんとだけはペアになりたくない！』強く祈った自分の姿とは一見、同じだ。

可愛さ余って憎さが百倍。これは逆か。
嫌よ嫌よも好きのうち。これはちょっと、その時の都合の良い解釈な気がする。

わかったのは、とにかくこの感情は好意と表裏一体ということ。
それならせめて……楽しいと思えるくらいの感情を持ちたい。

びっしり詰まった塾の夏期講習の案内プリントを広げる。自分のクラスの受講時間をマーカーでチェックしていく。
そうだ、夏休みはずっと塾がある。この夏期講習にどれだけのお金がかかっているか。
浪人なんて出来ないんだから。
私は塔ヶ崎くんの事を考えるのをやめて、夏休み用の問題集を開いた。


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