あさまだき日向葵
──夕方からみんなで集まって我が家で勉強することも増えた。

陽太も相当、レベル上げて来てる。うちのねーちゃんにめっちゃしごかれてるけど。
陽太はうちに来たら30分は猫と遊んでる。なのでうちの猫は陽太の事が好きだ。

やたらと家にいるねーちゃんに
「ねーちゃん、彼氏と別れたのか?」と聞いたら図星だったらしい。

「あんたたち、勉強教えてあげるんだからね、お礼に、私が生涯独身なら骨を拾ってね」
って言って、みんなをドン引きさせてた。
聡子だけがクスクス笑ってる。

「骨、か……」と昂良が呟く。
「あ、そっか。昂良、人が死んだらどうなるか知りたいんだよね」
陽太が懐かしそうに言った。

「ええ、……昂良、気持ちわるっ」ってねーちゃんに言われたくないだろうけど、聡子は泣くほど笑ってる。

……いいなあって思う。
こうやって、聡子が笑ってるの。幸せになる。

『私、塔ヶ崎くんの事、好きなのかもしれない!』
驚きながらここでそう言った聡子を思い出す。

好きだって言われたら気になってくる単純な男だけど、それなら、聡子がずっと「好き」って言ってくれてたら、俺もずっと、ずっと……好きでいられるんじゃないかなって思う。

だから……
「聡子、俺のこと、好き?」
って、聞いちゃう。

「俺も好き」って言う準備はいつもしてる。
俺がしてやれるのってそれくらいだ。いいよな、それで。



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