あさまだき日向葵
「塔ヶ崎くんちって色んな飲み物あるね。しかも健康志向?」
「あー、母親とねーちゃんが色々試したい人なんだよね、結構すぐ過ぎるブームだから、一時的なもん」

……お姉さんがいるのか。
塔ヶ崎くんの顔立ちから、きっと美人だろうな。

「……お母さんとお姉さん、絶対美人でしょ? って思ってるだろ、今」

じっと見てしまっていて気まずい。
「え、な、何でわかったの!?」
「……絶対に言われるんだよな。俺、母親似前提で話される。ねーちゃんに関しては『紹介して』って男子からは言われるよね」
「だって、塔ヶ崎くん中性的な顔立ちだし、綺麗なんだもん。実際はどうなの?」
「うーん、目元は似てるかもね」
「ほら!」思わず指をさしてしまう。
「いや、ほら! の意味わかんねーし」
塔ヶ崎くんは苦笑いだ。

「成長のピークが遅い家系なんだよ。中学くらいでやっと背伸びて、ついでに毛も薄いから中性的って言われる。でも兄貴見てる限り、それなりにゴツくはなるし、髭も生えるよね。顎髭とかあこがれるけど」

……お兄さんもいるのか。似てるのかな。それなりにゴツいお兄さん。……髭。

「いちいち、俺の顔から想像するなよ」
また苦笑いされてしまって、不躾に見ていたのに気づいた。
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