あさまだき日向葵
夜になると、佐鳥聡子にメッセージを送った。夏休みの前半に予定が空いてるのは俺だけで、フェニックスが心配なのもあった。

あと、オーナーの『女の子、呼ぶの?』って台詞を真に受けたわけじゃないけど
どこ行っても人は多いし、外は暑いし、佐鳥の事だから勉強したいだろうし。そう思って家に呼んだ。
嫌だと言われたらまた考えればいいかと思ったが、佐鳥からは『OK』のスタンプが送られてきた。

嫌いな人間に会わなきゃならない佐鳥も気の毒だけど、自分を嫌いな相手と会わなきゃならない俺も何かよくわからないな。

よくわからないけど、一応何とかしたってことで……きっと、明日会えばそれっきりだろうと思っていた。

面倒臭いと思うほどおっくうではなかった。約束は午前中だけ。せいぜい2~3時間程度なのだから。

玄関にはひまわりが飾られていて、咲いたばかりのひまわりを惜しげもなく切り取って飾る母親に、何の意味があるのかと思う。
それを少しでも長持ちさせようと、毎日水を替えては世話をする。庭で咲かせてた方が長持ちするんじゃないかと横目で通りすぎた。
それは、口に出すほどのことでもなく母親がそうしたければ、そうしたらいいんじゃないかと思う。

ひょっとしたら、ゴッホはひまわりを枯らしたくなかったのかもしれない。
もしくは、世話をしたくなかったか。そんな事を思った。
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