公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「キャッ!」

 おもわず、小さく叫んでしまった。

 なんと、公爵が下からこちらを見上げているのである。

「す、すまない」

 彼の銀仮面は、陽光を受けてキラキラ輝いている。それがまた幻想的で、しばらくボーッと見惚れてしまった。

「ミユ?」
「も、申し訳ありません」

 公爵に何度か呼びかけられていたに違いない。

 彼に見惚れていて、呼びかけられていることに気がつかなかった。
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