公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 それでも公爵との会話を楽しんでいる。

 わたしだけではない。公爵も楽しんでいるように感じられるのは、わたしの思いすごしかしら。

 つまり、希望的観測というわけね。だけど、彼の銀仮面の下の形のいい口は、ずっと笑みを象っている。

 わたしの話に耳を傾け、笑い、同意したり反論したり尋ねたりする。

 少なくとも、会話は続いている。

 それなのに、これももう終わりなのね。

 というか、始まりかけた途端に終わりを迎えるわけね。

 そう考えると、また不安がぶり返してきた。

 それから、悲しくてみじめで情けない気にもなる。
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