公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 でも、ちょっと待って。

 もしかして、いまのはあくまでもブレントンが宰相に対して警告する意味で言ったのかしら?

 彼を疑うわけではないけれど、ふと考えてしまう。

「ああ、そうでした。宰相閣下。おれの彼女への愛をやっかんでか、婚姻の申請書がどこかで止まっているようです。あるいは、何者かが故意に止めているか。いずれにせよ、宰相閣下にお声がけいただけましたら、明日にでも承認がでるはずです。関係者の尻を叩いてもらえないでしょうか?」

 さすがね、ブレントン。

 彼は、「婚姻の承認」がまだなのに夫婦としてパーティーに出席したことを、非難されるのを未然に防いでしまった。
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