公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「彼女の分も頼む。ああ、ついでに食べ盛りのイーサンの分もな」
「もちろんですとも」

 ハミルトンはうれしそうにうなずく。

「食べ盛りって、ぼくはそんな年齢ではありませんよ。万年食欲旺盛なだけです」

 イーサンは、童顔の頬を膨らませている。

「あ、ぼくはあなたより年長です」

 彼と視線が合うと、そう言ってきた。

 嘘……。どれだけ若く見えるの?

 わたしが驚いている間に、公爵は厨房から出て行ってしまった。
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