公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「あ、手伝います」

 ハミルトンの夜食づくりを手伝うことにした。

 手伝いながら、そういえばどうして公爵が屋敷にいるんだろうと思った。

 公爵は国境地域にいて、しばらく帰って来ないはずなのに。


 ハミルトンとあれこれ話をしながらサンドイッチを作った。

 四人分。たしか公爵は、彼自身とイーサンとわたしの分って言った気がするけれど、ハミルトンはちゃっかり自分の分まで作っている。

 葉物野菜とトマトとベーコンのサンドイッチ。それとミルクたっぷりの紅茶。

 ボスのおごりだから、街の食堂で気分が悪くなるほどお腹いっぱい食べた。その上、サンドイッチを作りながらハミルトンがつまみ食いをするのを真似してしまったのに、お腹が減っているのはどういうことなのかしら?

 ただの大喰らい? わかっているわよ。

「奥様、頼めますか? メイドたちは、もう休んでいますので」
「もちろんよ。持って行ってくるわね」

 二人分のサンドイッチと二組のティーセットとティーポットをトレイに乗せ、厨房から出て行こうとした。
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