鬼上官と深夜のオフィス
……え?
ええ?
えええええ????

鬼上官、もとい、佐久間君が、私を、好き?

混乱して思わず思考も体も固まってしまう私を佐久間君はグイと引き寄せる。何が何やらさっぱり分からずされるがままに、すっぽり彼の腕の中で抱きしめられてしまう。

「そんな婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。……俺じゃダメですか?」

佐久間君はいつもと違って切なそうな声色でそう言うと、空いた机に私を押し倒し、そのまま首筋に顔を埋めてキスをする。

「だ、ダメも何も私達は職場の同僚だし、仕事上の相手をそんな目で見れないし……」

しどろもどろになりながらそう言うと、佐久間君は私の肩を手で押さえつけながら一旦起き上がり、「俺のこと、じゃあ、嫌いですか?」と首を傾げて上目遣いで聞いてくる。

うっわ、かわいい!!

柔らかそうな栗色の髪をふわふわ揺らし、同じく色素の薄い栗色の大きな瞳で縋るような目つきで見つめられれば、こちらまでなんだか胸がドキドキ、おかしな気持ちになってしまう。

するとそんな様子を見た佐久間君は表情を一変させると悪い笑顔でニヤリと笑って、「その様子では、俺が嫌いって訳ではなさそうですよね」と、再び私の上に伸し掛かる。

「そういう目で見れないんだったら、これからそんな目で見ちゃうようなことをしてあげますよ。そしたらもう先輩は俺のこと意識して、異性としてしか見られなくなっちゃいますよね?」

そう言って、私の唇を無理やり奪うのだった。
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