さよなら、真夏のメランコリー
「どこ?」

「S大かF大」

「そうなんだ。えっと、学部とかはどうするの?」


閉じこめたはずの焦燥感が、急激に大きくなって顔を出す。
彼が打ち明けてくれたことは嬉しいのに、真菜の時と同じように自分だけが置いてきぼりにされてしまう気がして、不安でいっぱいになった。


「いや、まだそこまでは……もうちょっと悩んでるっていうか……」

「そうなんだ」


あからさまにホッとてしまい、ハッとする。


「そんなに安心した顔するなよ。俺、結構ギリギリなんだけど」

「ご、ごめんね……! そういうつもりじゃ……」


苦笑する輝先輩に、慌てて頭を下げる。


「じゃあ、キスしてくれたら許す」

「えっ!?」


ボッ……と、頬が熱くなったのがわかった。


付き合って三ヶ月になる今、キスは何回もしている。
だけど、いつだって仕掛けてくるのは彼からで、私からキスをしたことは一度もなかった。

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