さよなら、真夏のメランコリー
(でも、変なの……)


輝先輩とは学年も違うし、友達というわけでもない。
周りから見れば友達関係なのかもしれないけれど、私にとっては真菜のような関係性と同じようには思えない。


なんていうか、彼とは同士のような感覚に近いのかもしれない。


「どうかした?」

「ううん、別に」


ゲームセンターから図書館までは十五分。
定期で移動できる私たちは、電車に乗って私の家の最寄り駅に向かう。
前回同様、自習スペースで課題をこなそうというわけだ。


今日はその前にゲームセンターで遊んだけれど、これも輝先輩の案だった。
少しリフレッシュしてから課題を頑張ろう、と。
どちらかといえば、ご褒美代わりに課題のあとで遊ぶべきなのかもしれないけれど、おかげで気分はすっきりした。


「……混んでるな」

「本当だ。夏休みだもんね」


図書館の自習スペースは、学生たちでいっぱいだった。
みんな、私たちと同じように課題をしに来たのかもしれない。


「どうしよう? 待つ? それとも、ファーストフードかファミレスでも行く?」


彼は考えるようなそぶりを見せたあと、名案だと言わんばかりの顔をした。

< 86 / 194 >

この作品をシェア

pagetop