はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


「いや、すごくないよ。わけわかんないでしょ。ほんと謎だよ」


机に肘をつくと、またため息が出た。

前の席に座る仁乃は目をキラキラさせている。


「やっぱり近くで見る一ノ瀬くんはかっこよかった?」


「あー、うん。確かにかっこいいとは思うよ」


「へぇ〜っ」


「ちょっとにの、ニヤニヤしすぎ。別になんとも思わないから」


「えーーいいと思うけどなー、そろそろ新しい恋してみるのも」


「・・・まだいいよ、私は」



そう、まだいい。 


まだいいと言いながら、そのいつかが訪れる日は来るのだろうか。



いや、・・・その可能性はかなり低いだろうな。


約1年前、自分から終わらせた恋。そこから今だに前に進めずにいる。


「まあでも、その一ノ瀬くんの発言的に、今後何かありそうだよね?えーっ、考えたらワクワクしてきたっ。そっかそっかぁ、あの一ノ瀬くんも、明華の可愛さにやられたのね〜ふふ」

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