はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


まさか、一ノ瀬くんとりっくんが同じバイト先だったなんて。


一ノ瀬くんはいつからあそこでバイトしてるんだろう。もしかして、私、会ったことあるのかな・・・。


りっくんと私が付き合ってたってこと知ってた?


もしそうなら、私、あの時屋上でりっくんのことが忘れられないって一ノ瀬くんに言ったようなもんだよね。



チラッと隣を見ると、一ノ瀬くんは真っ直ぐ画面を見ていた。



・・・ちゃんと観てたんだ。


一ノ瀬くんがこういう恋愛ものを観るってなんか意外だったな。


今までどんな恋愛をしてきたか知らないけど、来るもの拒まずって聞いてたし、きっと彼女がいたことはあるよね。


その子にも私に言ったみたいに、「好き」とか「可愛い」とかあの声で囁いたんだろうか。


そう思うと胸の奥がチクッと痛んだ。

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