どんな君も、全部好きだから。

早く好きになって(Side 賢斗)

優依に避けられたとき、どうしたらいいかわからなくて死ぬほど焦った。

ついこのあいだ一緒に映画観に行って、名前で呼ばれるのがイヤじゃないって言ってもらえて、すごく距離が縮まったと思ったのに。

どれだけ考えても避けられる理由が何も思いつかなくて途方に暮れた。


あの時りぃは俺の顔を見るなり、優依の悩みを聞いてたって怒りながら言った。

優依は全く俺の方を見ようとしなかった上に、すぐに走って逃げてしまった。

その『悩み』に俺が関係してそうなのは明らかだ。


俺、気づかないうちに優依がイヤがることして嫌われてしまったんだろうか・・・?

あんなに避けられるほどのことなのに、何をしたかまるで見当がつかないってヤバすぎないか?


俺はその日生まれて初めて、全身から血の気が引いていく感覚を知った。
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