どんな君も、全部好きだから。
「だから教えないってば」


放課後、家に帰るなり二軒隣のりぃの家に押しかけてインターホンを押した。

玄関まで出てきたりぃにそのまま詰め寄ったけどあっさり断られた。


「先輩いろいろ混乱してるかもしれないから、今は無理に聞き出したりするのはやめてよね」


居てもたってもいられなくて、優依に直接メッセージか通話で聞こうかと思っていた俺を見透かすように、りぃが釘を刺してくる。


「早坂の方から話してくれる気がしねーんだけど・・・今日ずっと避けられてたし」


このまま明日からもずっと避けられ続けて、もう話せなくなったらどうしよう。

ていうかもうすでに連絡先ブロックされてたりして・・・。

最悪の事態ばかり想像してしまって、そのたびに心臓がぎゅうぎゅうと締め付けられる。


「けんちゃんに話してもらえるように、私の方からそれとなく言ってみるよ」


悲壮感ダダ漏れの俺を不憫に思ったのか、りぃは長めのため息をついた後にそう言った。


「先輩がもし話してきたらちゃんと安心させたげなよ」


悩みの内容は教えてくれなかったけど、優依が何か不安に思っていることがあるのはわかった。

俺に関する不安てなんだ?

よくない想像ばかり湧いてきて、その夜はなかなか寝付けなかった。
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