恋のGraduation
その夜、母から電話があった。

「今日、あゆ子がそっちに行ったでしょう?」

あゆ子とは姉のことで、母が姉に私のところへ行くよう促したこともわかる。

「全然、知らなかった。お姉ちゃんに軽い障害があったのも、テルのことも」

「もっと早くに気付いてあげてたら、あの子が勉強が苦手でも、あんなに叱ったりしなかった…。おまけに、障害を知った途端、過保護になって…。麻里はしっかりしてるからって、小さい頃から構ってあげられなかったこと…本当に悪かったと思ってるのよ…。ダメな親だけど、信じて…」

母は受話器の向こうで泣いていた。

そんな母は初めてだ。
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