恋のGraduation
旅にアクシデントはつきものだが、よりによって部屋がないとは…。

軽いめまいを感じたが、

「シングルでなければ、空きはあるんですか?」

シュンが落ち着いて尋ねると、

「はい…スイートルームがひとつ空いております」

「それだと予算オーバーなんですけど…」

私がめまいを堪えながら訴えると、

「それでしたら、こちらの不手際なので、料金に関しては戴きません。シングルではありませんが…大丈夫でしょうか?」

大丈夫かどうか聞かれても…。

ひとり悶々としていると、

「いいですよ」

シュンがあっさりそう答えるので、ちょっと驚いて隣を見上げた。
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