麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃

猛る女たち、一斉発熱の夜!/そのテントの中は修羅と化す…

その1
夏美



その場で席を立った鷹美は、やや硬い表情をしてるわ

「あのう…、真澄先輩、一旦席外してもらっていいですか?すいません、時期声かけますんで」

「わかったわ、外で待ってる。用があれば呼んでください」

そう言って真澄はテントを出た

今日の真澄は、いつもみたいにギスギスしたところがない

まあ、新体制で荒子の後見役が周知されたんだ

機嫌がいいのは当然か…


...



さあ、鷹美の口からはどんな話が出るのかしら

ひょっとしたら…

「…今日の一件を私たちが対処する前に、ここでもう一つ協議すべき問題が生じています。まだ確証は取れてはいませんが、ドッグスが我々に無断で、週末に集会をかけたという情報が入っていることです」

わあー、やっぱりだ

でも、鷹美がこの件の口火を切るとは思わなかった…

思わず、隣に座ってる達美とも顔を見合わせたわ

「しかも、結果的にメンバーを半数近くにしたと…。リンチだとか、粛清だとか物騒な話も飛び交っています。さらに、どこの馬の骨とも知らない人物を、無断で加入させたとか」

あっこから聞いてる内容と全く一緒だ

やはりこれ、信憑性のある”噂”なのか…?

「…今、どう見てもトラブルメーカーの中心であるドッグスのこの噂、全く耳に入っていない方いらっしゃったら、ここで手を上げていただけますか?」

いやあ、あの鷹美がこういった組み立てで先輩らと向き合うなんて…

で…、手を上げたのは土佐原、甲斐両先輩の2名だけだった


...



「先輩方、ありがとうございます。この噂の出元は主に1年連中です。私たち現役には、なんとか耳に入ってきていますが、OB、OGの方々まではなかなかリアルタイムで情報が届かない。一つには、諸先輩に噂の段階のつまらないことで、煩わせたくないという気持ちからくるところもあると思います…」

鷹美はどちらかと言うと、多弁なタイプではない

その彼女が、これだけ必死に訴えている意味、…

今はそれが大事だ






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