麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃

作者ナビ

作者ナビゲート解説


赤き群雄割拠…。
前回と今回アップのエピソードは、作者的に言わせてもらえれば、ズバリこの言葉に行きつきます。


麻衣が仕掛ける、紅丸有紀の去った後の都県境再編というアクションロードが、事実上、自ら所属する南玉連合自体を明確にターゲットに据えることを決したこの夜の出来事こそ、夏の再編劇をバックボーンとした第1部のみならず、最終的に麻衣とケイコ、そしてこの1年後にケイコと出会うことになるアキラの3人が、この世を去る結末に運命つけた種子を複数ちりばめ、その後のストーリー展開の方向性を決定つけるターニングステージを成したとも言えます。


そのことはイコール、多くの登場人物達の第2部・第3部での立ち位置も示唆めき、ひいてはこの後の『ヒールズ』という群像物語を誘導する土台がこの時点で大まかに形成されたと…、言わばここでのパーツエピソードは、書き手としてもそこまでの重要極まるポジショニングとして括っているのです。


そしてさらに言えば、『ヒールズ』ケータイバージョン本編のこのパートには、回想シーンを除いて、本作の本来たる”主役”横田競子は登場しません…。

...


既に述べたことですが、本郷麻衣は横田競子との対軸として作者が誕生させたキャラクターではあります。しかし、その対軸はあまりに大きなエネルギーを得てしまい、これ以降の第2部・第3部を強引なまでに牽引することになる訳でして…。


『ヒールズ』(シニアタイトルは『ヒートフルーツ』になります)の素材となったパーツエピソード群を長編群像物語として都合3部構成にまで達するケータイ小説バージョンの骨格を形成させたこのパートでは、まさに本郷麻衣が独壇場状態で進行します。その結果、以後の展開において、麻衣を媒体とした各登場人物が織り成す、多くの必然的事象を植えこみました。


特に第3部の序盤に於ける、夏のセカンドステージに乗っかった段階での猛る少女たちが相互に絡んだ、”1年前”を巡るそれぞれの恩讐の根っこはここで根付かせましたと言っても過言ではありません。例えば、冴木ひとみの頑なまでの”麻衣嫌い”と、彼女の本田多美代への疑心の芽といったものは、この夜の”テント内”の出来事が起因となります。


...


端的にこういった類の心象面などは、第3部での猛る女達が大同団結するまでのプロセスを描く上で、欠かすことのできな伏線的側面を担っていましたから、なおさら彼女らのこの時点であらわになった相関関係こそ、物語を引き立たせるスパイスの役割を果たしたと言えるでしょう。故に、ここでの麻衣を軸とした発熱少女たちの人間模様は、その後の『ヒールズ』をカタチつくるに欠かせないピースになり得たとも思えるのでして…。


さらに言えば、南玉連合OB・OG連の顔であった、土佐原仁と甲斐由美子がこの後、麻衣と三田村峰子の企てによって失脚する背景をのぞかせる言動とかも…。それと、最終部ではヒールズで、麻衣と倉橋が”二人のその後”を連想させる何気ない会話もリリースしていましたし…。


ともあれ、ここから麻衣の起案した”ダーティー・ビューティー”に基づくムーブメントは、その後を共にする盟友たちが一堂に会したことで、そのタイムスケジュールはスタンバイ。一気に熱い女達の発熱模様へと突入することになります…。




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