うそつきな唇に、キス
ライアー / Attack
ꄗ
「っ海、海ですよ、若サマ!」
「それは昨日も聞いたが」
「今日は初海水浴なんですから細かいところは気にしないでください!……というか、若サマ水着あったんですね」
「琴吹が引っ張り出して来た」
買い物で厄介ごとが起こったり、夜のバーベキューでお腹がたらふく満たされた日の翌日。
満を辞して、海に入るための装備を固めた。
朝からやたらと日焼け止め塗れやらパラソルたてるの手伝えやら、浮き輪に空気入れるの手伝えやら琴に言われて大変だったけど。
みんなそれぞれ日焼けはもうしてるんだから、日焼け止めはいいんじゃないかと進言したら、無言で睨まれたので大人しく従ったり。
琴に言われて一通り準備が終わった時にはもうお昼に差し掛かっていて、結局海に入れるようになったのは、お昼を食べ終わってからだった。
「似合ってますね、若サマ」
「水着に似合ってるも何もないと思うが。……それを言うなら、お前の方が似合っているだろう」
若サマの言葉に、きょと、と目を丸くしたあと、ふと自分の格好を見下ろした。