うそつきな唇に、キス




「……一応聞くが、経験は?」

「潜ったことならありますよ。なんなら10分強息止めていられます」

「……………化け物か」

「ちょっと肺を鍛えたらそれくらいできますよ?」

「才能がなければまず無理だと思うがな」



そう言う若サマは、一向に海辺から立ちあがろうとしない。

波が寄せては引いてを繰り返す絶妙な場所で、ホルスターが濡れないギリギリの場所にいる。


……そんな若サマの姿に、はあとひとつため息をついて。



「……わかりました。では、若サマの身はわたしが守りますので、どうぞ気を抜かれてください」

「……は?」

「まずはホルスターを渡してくれますか?」



ぽかん、と。

まるでわたしの口から紡がれるのは至極おかしい言葉でも聞いたような顔に、すこしムッとすると同時に、やっぱりまだダメなのかなあ、とも思う。



「心配しなくても、若サマはこの身を挺してでも守りますよ。絶対に」



そう言うと、若サマがふっと視線を落とした。

そして。



「………お前もか」



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