うそつきな唇に、キス
幾度となく、怪物と謳われ続けていたのに。
あの3人と出会ってから、怪物ではなく、化け物と呼ばれがちだったから、わすれかけていた。
それは賞賛のウソを被った、ただの悪意だと。
「……あ゛?今、お前らなんて、……っ、」
わたしが足を止めたのにならうように、睿霸も足を止め、いつかの夜に彼らと邂逅した時とは比にならないほどドスのきいた声を、出していた、けれど。
振り返りかけた軌跡の途中で視線がわたしに流れた瞬間、空気が気管に詰まったかのような、ひゅっという変な音が、睿霸から聞こえた。
「……あの、睿霸」
「……ぇ、ぁ、う、ん?」
「すみませんが、もう少し待っていただいてもいいですか?」
そう聞いたものの、睿霸の返答を待たずに、歩き出す。
……踵を返していた道を、また戻るために。
ああ、おかしい。変。奇妙。バグ。エラー。らしくない。意味などない。価値もない。合理的な理由なんて、なにひとつとして見つからない。
それでも、勝手に足が動く。わたしの意志などただひとつしか存在しないから、それが果たして自分の意志によるものなのか、判別がつかなかった。
「すみません、」
またわたしが戻ってくるとは思わなかったのか、先ほどの言葉を落とした張本人である銀髪の人は、目を小さく見開いた。